第29章 それほど大切
この人は本当にいつでも真剣に生きてるんだ。
「ありがとう…ございます…」
ふいっと恥ずかしさで顔を逸らす。
「シルビアねぇさん!
これから船を出したいんですがいいですか?」
アリスがブレインとマルティナとベロニカを連れて祝賀会から戻ってきた。
「あら?どうかしたの?」
ブレインは綺麗なキラキラと反射するベールを見せて事情を説明してくれた。
「それじゃあ!そのロミアが待ってるキナイは…」
マルティナが視線を逸らす。
「……そう。事情は分かったわ。
じゃあ早くその事をロミアに伝えなくちゃね?
船を出しましょう。
サランちゃんはここでもう少し寝てなさい?
あなた、思ったより重症なんだから」
サランはこくんと頷きゆっくりと横になった。
ーーーなんだか、一日が長く感じる。
まだ終わってもいない今日の長さにため息が漏れた。音と船の揺れで海に出たことが何となく分かった。その揺れの心地良さにうつらうつらと瞳を閉じる。サランはゆっくりと目を閉じ、眠りについた。