第29章 それほど大切
戦いの一連を見ていた村の男たちが賞賛の言葉をブレインたちに浴びせる。
その男の1人がシルビア号に乗ってきた。
「どこの誰だか分からんが助かった〜!
海に落ちた奴らもみんな無事さぁ。
あんたらのおかげだぁ。ありがとうね。
そうだ!今夜は化け物イカ討伐祝賀会をやろう!
あんたらにもぜひ来て欲しいさ!
ご馳走もたんとあるんだ。さぁ早く村へ戻ろう!」
村の男が嬉しそうに自分の船へ戻っていく。
「サランちゃん!?」
シルビアが慌ててサランに駆け寄る。
すでにセーニャとマルティナ、ベロニカが駆けつけていて様子を見ていた。
「背中にに大きなアザがあり、腹部も壁に叩きつけられた衝撃で肋骨にヒビが入ってるみたいなんです。」
セーニャがゆっくり時間をかけ手当てをするがそんなすぐに治るはずもなくサランは苦しそうに浅く息をしていた。
意識も朦朧としていて、今にも気を失いそうになる。
「セーニャちゃん、ありがとう。
あとはアタシに任せてもらっていいかしら?」
「え、でもシルビア様は祝賀会に…」
「いいのよ、それより彼女が心配だわ。
あなた達に下がってと言ってサランちゃんを回復役に頼んだのもアタシだし…。
無理に村へ連れていくより、ここで安静にした方がいいわ。だからアタシに任せて!」
シルビアがウインクをしてサランを抱き上げた。
うっ…と苦しそうな声が漏れ、顔が痛みに歪む。
「ごめんね。ちょっとだけ我慢してくれる?」
船室のベッドに横にし、回復呪文を唱えゆっくり治すよう心がける。