第23章 あなたがあなただから
しかし、あんなに小さく生きるのに必死だったサランはいつの間にか大人になり歌姫としてサーカスを盛り上げていき一人の女性として成長していた。
それには嬉しさもあり、切なさもあった。
そんな彼女が今、自分だったから好きになったと話す。
「世界を守り、人々を笑顔にするのがアタシの夢だったけど。
一段と守らなきゃイケナイ人が増えちゃったわね…
サランちゃん…」
フフっと俯き愛おしそうに優しい眼差しでサランを見つめる。
「私だって、守られてばかりじゃないですよ!?
さすがに戦えます!」
ムッとお荷物みたいなこと言わないでと頬をふくらませた。
その表情はサランに笑顔が溢れたあの時と何一つ変わってないなとシルビアは懐かしんだ。
「そうね。」
いつの間にか夜が明けていたのか空が薄暗く朝日が昇り始めていることが分かった。
「ブレインさん達は大丈夫かな?」
「きっと戻ってくるわよ、アタシたちはいつでも出発できるように準備をしましょう。」
シルビアは腰を上げて準備を進めた。
サランもそれに続いて立ち上がる。
朝日が昇り、周りが明るくなるとカミュやベロニカたちも目を覚ました。