第21章 ユグノア跡地の老人
登りきった先にロウが待ち受けていた。
「お主らが来るのを待っておったぞ」
そこにいるのは優しそうに笑うロウだけでマルティナの姿が見当たらなかった。
ロウ曰く、マルティナには少し席を外してもらっているとの事だった。
「早く虹の枝を返してくれ。俺達にはそれが必要なんだ。」
カミュの言葉にロウは髭を撫でながら「必要とな…」と呟く。
ロウにはブレインが勇者だということが分かっていたようだった。
その言葉を聞くとカミュがブレインの前に立ち守ろうと構える。
「じいさん、何者だ!?」
ロウは懐かしそうな切ない表情を浮かべる。
「16年前に死んだと思っておった。
まさかグロッタの武闘会でそのアザを見るとは…
心の臓が止まるかと思ったわい。
ブレインには見せたいものがあるからちぃとばかり老人に付き合ってくれんか?」
そう言うとロウはくるりと振り向きゆっくり歩き出した。
「見せたいものってなんでしょう…?」
「分からないわ。でもなんだかワケありそうね…」
コソコソっとシルビアとサランが互いに耳打ちをする。