第14章 サランの約束
昔から聞いているその鼓動はいつもサランの不安を優しく追い払ってくれた。
「サランちゃんは……どこへも行くとかないわよね…?」
「何を言ってるんですか、私はシルビアさんの傍にいますよ?
この旅が終わってからもですよ。
あーでも、好きな人が出来たらその人のお嫁さんに行っちゃうことはあるかもしれないけど?
でも、それまではシルビアさんの傍を離れません。
頼る人もシルビアさんしかいないし…約束します。」
サランの冗談交じりの言葉にシルビアは笑ってサランの手を解き、向き合った。
その表情はどこかホッとしたようにも見える。
「ウフフ、そうね。あなたも素敵な女性になったわ。
男の1人や2人出来てもいいはずよ。
まぁ、その人があなたのことを守り通せるか見定めはさせてもらうけどね。」
サランとシルビアが今までのように仲良く話しているとブレインがやってきた。
「あ、2人ともこんなとこにいたのか。
ちょっとロウという老人に頼みがあるからみんなを呼んでって言われたから来てくれないか?」
「ロウってあの武闘会の?」
シルビアの質問にブレインはこくりと頷く。
「分かったわ、アタシ達も行きましょう。」
3人は走って宿屋へと向かった。