第2章 Trick or Treat !?
―数日前―
『ハロウィーンの日に六本木で、潜入捜査ですか!?』
新しい任務が発令されたということで、降谷さんの部屋に呼び出された私。
予想をしていなかった任務内容に少し驚いた声を上げた。
しかし、降谷さんはそんな私の様子を意に介さず、任務の詳細説明を続ける。
降:「ああ。公然と仮装できる日だからね。いつも以上に薬物取引が増えるんだ」
『なるほど』
降:「本来はマトリと組対の仕事だけど…最近、台頭し始めた海外組織がハロウィーンパーティを開催するらしくて。規模が大きいから、ゼロが裏から捜査指揮を担うことになったんだよ」
『普通のパーティじゃないですね』
降:「そうだね。主催者もだけど参加者もね、要注意人物ばかりだ」
『上手くいけば、一網打尽ですね』
降:「もちろん、そのつもりだよ。そこで、君の出番だ」
淡々と、任務内容を話していた降谷さんの目が怪しく光った。
私はこの変化を見逃さなかった。
そして、背筋を冷たい何かが通り抜ける感覚に陥る。
(やばい!何か良からぬこと起きるかも?!)
『私ですか…?』
降:「そう、君にしかできないことだ」
平然とした表情で、降谷さんへ疑問を投げかけてみる私。
しかし、心中は全く穏やかではない。
もちろん、降谷さんもその事に気づいているようだ。
勿体ぶるかの様に私を見つめ返すだけで、一向に話を進めようとしない。
『えっと…降谷さん?』
降:「はは。ごめん、ごめん。君の反応があまりにも可愛くて、つい」
『揶揄わないでください!』
悪戯が見つかった子どものように、はにかむ降谷さん。
私は臆面もなく、彼に抗議の声を上げていた。