第3章 大切なΩ・続(佐野万次郎α×三ツ谷隆Ω)
タケミっちに振られた。
オレたちは運命だったのに、番にまでなったのに、番を解消した。
運命ですら、あいつら2人は捩じ伏せてしまった。
「なぁ三ツ谷、オレの何がいけねぇんだ?」
「は?・・・そんなん知らねぇよ。」
三ツ谷はαだ。
だったらオレの気持ちわかるだろ?
運命の番に振られたんだぜ。
番を解消するとか、ありえねぇだろ。
そんだけ、あいつのことが好きなのかよ・・・。
「ん?この匂いなんだ?」
甘い香りが漂ってくる。
この匂い、Ωのフェロモン!?
なんでこんなところに・・・。
ここには、オレと三ツ谷しかいねぇ。
急いで鼻を押さえた。
「おい、三ツ谷、だい、じょ・・・?」
オレの前に座っている三ツ谷のうなじに目が行き、無性に噛みたくなった。
この匂い、三ツ谷から!?
「三ツ谷、オマエ・・・。」
「うっせ、黙れ・・・。」
三ツ谷がΩなのか?
「クッソ・・・なんで今・・・。」
膝を抱えて蹲る三ツ谷を見て、性的な衝動を必死に抑えた。
頭ん中が欲で満たされそうになる。
なんで、三ツ谷はαのはずだろ?
意味わかんね・・・。
「マイキー、なんでそんな抑えていられんだよ?・・・そんなに運命ってもんはすげぇのかよ・・・。」
なに言ってんだ、こいつ。
抑えなきゃ、オマエはオレに襲われんだぞ!?
「オレを選べよ、マイキー!!」
「っ!?・・・は?」
三ツ谷は突然振り向き、オレを押し倒した。
オレの肩を押さえ付け、泣きながら見下ろしてくる三ツ谷は、めちゃくちゃ儚く感じた。
「オレはずっと、オマエが好きだった。でも、タケミっちが・・・運命の番が現れて・・・身を引こうとした。でもそいつはオマエを選ばなかっただろ!?オレはオマエだけだっ!!」
「三ツ谷・・・。」
オレの胸にしがみつき、呼吸を乱しながら泣いている。
そうか、こんな近くにいたんだ・・・オレを、オレだけを愛してくれる奴が・・・。
オレの胸にいる三ツ谷ごと起き上がり、細いこいつの肩を抱き締めた。
「三ツ谷・・・。」
「マイキー・・・。」
見つめ合って、口付ける。
たった一瞬だけ、触れるだけのキスを交わした。