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【ONEPIECE】青 銅 の 剣 と 番 犬

第2章 ラビスタ編〝亜熱帯雨林の逆行〟



 随分と、遠い、昔の夢を見ていた。

 自分の目の前を通る微かにひんやりとした冷たい風で自然と瞼が開いた。
 視界には昨日と同じ船、メリー号の船首と甲板が見える。

 キルマのすぐそばにはいつの間にかカル―がうずくまり寝息を立てて穏やかに眠っていた。

 随分と、酷い夢を見ていたが不思議と嫌な気分ではなかった。
 もう終わった過去のことに縛られ考えても仕方がない。今は今で、やらなければいけないことがある。

 キルマはゆっくりと体を起こし、すぐそばの高台の手すりを掴み身を乗り出ながら空を仰ぐ。

 今日も雲一つない快晴の先には雨雲がちらほらと顔を見せていた。

(また雨か…)

 そう思ったのもつかの間、首元に違和感を向き下へと目線を落とすと扉から伸びた手が自分の襟元を何度も何度も掴んでいる。

 腕が伸びている怪奇な光景にキルマは思わずヒィと情けない声を出しながら後退りをすると、今度は先ほどよりもグッ、と力強く襟足を掴まれる。

 同様に扉の向こうから腕がひゅるひゅると伸びると次に眠っているカル―の頭を通り首を絞める。

 息苦しさに気づき「ギュワッ⁉」っと鳴きながらカルーが目を覚ますと同時に身体の重力がグンと横に行く感覚にキルマは目を見開いた。

 理解する時間を与える暇もなく、視界は突然横へスライドしてゆくと今度は重力に逆らって宙に体が浮く。

「うわああああああああ!??!?!?」

 共に連れ去られたカル―と共に不安定な浮遊感に叫び声をあげて重力を無視しながら宙を移動する。

 そのまま勢いよくドカンと椅子に座らされ、転げ落ちそうになるカル―を慌てて抱くとそのまま自身も耐え切れずひっくり返る。

「いたたた…」

 反射的に瞑った瞼をゆっくりと開く。逆さのまま視界に映ったのは昨夜夕食を食べたキッチンとルフィの顔だった。
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