第1章 理想のペアと自動販売機

　「あ、そうだったな。うん……、わりぃ、キテレツ、先いいよ買って」



　「では、遠慮なく」
　丸井が隣の製品見本全部水の自動販売機に移動すると、木手が前につめて来ました。



　どの飲み物を買おうか、木手が決めようとしていたところ、視線を感じ、上の製造見本から隣の丸井に視線を移した木手です。



　「あの、気が散って選べないのですが。何か？」



　「いや、木手が何を買うのかなって」



　「あなたがここいると飲み物が選べません。少々、向こうへ行っていただけませんか」



　「それもそっか。わかったよ。あっち行く」
　丸井は木手から離れたところまで移動すると見せかけ、こっそり後ろに並び直します。



　このとき、木手は自動販売機の飲み物選びに集中し始めていたため、丸井が後ろに並んでいる気配に気が付いていません。



　「ゴーヤーのジュース、さすがにありませんか。なら、野菜の摂れるものがいいですかねぇ」
　お金を入れ、清涼飲料水の製造見本の下にある押しボタンスイッチを木手が押すところ、



　「おっ、それにするのか」
　丸井が声を掛けてしまったことで木手は間違って隣の押しボタンスイッチを押してしまいます。