第1章 理想のペア、裏球へ!?
「テニスプレーヤーがいないようですが……。妙にリアリティのあるシミュレーションRPGの世界ですね」
「そうだな。周りの人、オレたちのこと見えてるみたいだな。風が吹いているのもわかるのと、地面の土と落ち葉にも触れるぜ」
「となりますと、ここはただのシミュレーションRPGの世界ではなさそうですねぇ」
「オレたちは異世界に来てしまったのか」
「ええ、恐らく行方不明になった高校生たちはこの異世界のどこかで迷っている可能性があります」
「そっかぁ……」
丸井はふと空を見上げました。何かが飛んでいる姿が見えます。鳥ではなく野生のドラゴンでした。野生のドラゴンは理想のペアに向かって飛んで来ます。
「丸井くん、逃げましょう」
危険を感じた木手は丸井に言いました。
「ああ」
丸井は頷き、木手と逃げます。
理想のペアは野生のドラゴンに見つからないよう大きな木の陰に隠れました。
野生のドラゴンは理想のペアを探し回ります。
「ひっ……」
野生のドラゴンが近くに移動しそうで丸井が声をあげそうなところ、
「あなたね、見つかりたいのですか」
木手が片手で少年の口を塞ぎました。