第1章 理想のペアVS一五中学男子テニス部
「オレが行く。次は点を入れさせねえから。鉄柱当て!」
「やばい、拾えない。くそ……」
朝陽は球が拾えず悔しがっていました。
「ドンマイ」
朝陽に声を掛けた杉山です。
「40ー15(フォーティーフィフティーン)」
「丸井さんから攻略しないとダメか」
ぽそっと小さい声で言っていた朝陽でしたが、丸井の耳に聞こえていたようです。
「攻略してみろい」
丸井はキリッとした目付きでしたが、笑顔で言っていました。
「南川、相手を挑発してどうするんだ」
「いえ、そんなつもりじゃ……、すみません」
「あのー、こっちは別に気にしてねえから」
丸井は片手を振ります。
「攻略するなら……」
杉山は木手をじっと見ながらサーブを打ちました。
「何を見ているんですか」
すぐ視線を感じた木手が打ち返します。
「わわっ、やべ、またオレ……」
木手の打ち返した球を反射的に避けてしまった朝陽でした。けれども、それが杉山の作戦でした。丸井を狙って思い切り打ち返してきたのです。
「ちっくしょい」
丸井は球が取れず悔しがります。