第1章 理想のペアVS一五中学男子テニス部
「ドンマイ南川、落ち着いていこー」
「はい!」
再び、杉山がサーブを打ち、今度は丸井が球を打ち返しました。朝陽が拾います。
「おっ、やるじゃねえか」
「ですが、南川くんって言いましたね。丸井くんによそ見をしているようでは球が拾えなくなりますよぉ」
と、木手が朝陽を狙って打ち返しました。朝陽は木手の打ち返した球が速く、反射的に避けてしまいます。
「それはどうかな。南川が球を拾えなかったとしても、オレがいるから簡単にはいかないよ」
杉山は木手の方に思い切り返しました。
「なっ……!」
杉山の打ち返した球のスピードがさらに速くなったからか、木手は球が拾えずラケットをかすっただけでした。
「30ー15(サーティーフィフティーン)」
齋藤コーチも目を見開きながら審判コールしていました。
「キテレツ?」
丸井が後ろを振り返り尋ねると、木手はメガネを光らせます。
「こんなのどうってことありません」
再び杉山がサーブを打ち、木手は朝陽を狙わず、杉山の方を狙って打ち返しました。
「今度は最初からオレに打ち返して来たな」
と、言い、杉山は真ん中を狙って打ち返します。