第1章 理想のペアと千の技を持つ男
ある日、トレーニングが休みの日があり、丸井ブン太は1人、散歩をしていました。
コートまで散歩に来ると、最初に青学のゴールデンペアの大石秀一郎と菊丸英二が練習で打ち合っている姿が見え、丸井は少し見ていきます。
「大石、ほいっ!」
「英二!」
「ほいほーい!」
「この合宿が終わったら、いつもの場所で反省会な!」
「ほいっ! それはオレも同じこと思ってたところ!」
青学のゴールデンペアが爽やかな笑顔で打ち合っている姿を見たあと、丸井は風船ガムを膨らませていました。
次のコートを歩くと、氷帝のゴールデンペアの宍戸亮と鳳長太郎が自動販売機のところにいる姿が見えます。丸井は何となく隠れ、様子を窺っていました。
「ほらよ、これ美味いぜ。長太郎も飲んでみろよ」
と、宍戸は自分の飲みかけの飲み物を鳳に渡します。自動販売機で買った缶の飲み物でした。
「ありがとうございます、宍戸さん」
鳳は喜んで受け取り、飲んでいました。
「どうだ、美味いだろ」
「はい、後味がさっぱりしてきます」
1本の缶の飲み物を宍戸と鳳で分けて飲んでいた姿を見ていた丸井は再び風船ガムを膨らませていたのでした。