第7章 春なのに、あつい
−緑谷side−
話が終わるとあくあちゃんは
そのまま走ってどこかへ行ってしまった。
戦闘訓練で受けた体の傷はリカバリーガールと
あくあちゃんのおかげで綺麗に治っている。
(あくあちゃん、ちゃんと過去と向き合って前に進もうとしてる…。すごいなぁ)
昔親を殺してしまったという
辛い過去がある…そんな個性でも、
向き合って、前に進もうとしてる。
実際僕も去年から
彼女の治癒に助けられっぱなしだ。
(って、そうだ、かっちゃん…!だましてたわけじゃないって、言わないと)
『じゃあ、僕もそろそろ行きますね!ありがとうございました!』
リカバリーガールとオールマイトに
お礼を言ってから
ダッシュでA組の教室まで向かう。
「おお緑谷来た!おつかれ!いや何喋ってたかわかんなかったけどあつかったぜ、おめー!!」
「よく避けたよ!」
「一戦目であんなのやられたら俺らも力入っちまったぜ」
教室に入ると同時に
一気にクラスメイトに話しかけられた。
切島くんに、芦戸さん、
蛙吹さん、砂藤くん。
この勢いで自己紹介をされたけど
よく今の一瞬で覚えられたなと自分でも感心する
「おい、緑谷。海波どこにいるか知ってるか?」
やっと落ち着いた会話を
突き抜けるように入ってきたこの声の主は轟くん
「えーっとさっきまで保健室にいたんだけど…なんか、プールがどうのとか言ってたよ」
そういえばあくあちゃんが言っていた
プールってなんなんだろう。
今4月でプール入る気温じゃないし…。
「プール…この気温で…?」
「あくあちゃんに用でもあるの?」
「あぁ、ちょっとな。」
轟くんはそういうと
そのまま教室から出て行った。
なんの用だろう?と思いつつも
自分の目的を思い出して
かっちゃんを探したけど教室にはもう
かっちゃんは居なかった。
「麗日さん!あの…」
〈皆止めたんだけどさっき黙って帰っちゃったよ〉
さっき…ってことは
まだ敷地内にいるかもしれない
僕はかっちゃんを追いかけようと
急いで校舎の外まで走っていった。