第6章 ヒーローを目指すと決めたから
お茶子ちゃんが核兵器に触れ、
オールマイトの終了の合図とともに
一回戦目の戦闘訓練は終わりを告げた。
その後大怪我の出久くんは保健室に運ばれ
講評、反省をするため
みんなモニタールームへと戻るのだが…
(やばい……かも…)
頭がクラクラする
立っていられないほどじゃないけど
足取りがおぼつかない。
モニタールームに向かうため
5階フロアから戻ろうとしたら、
無言でどこか一点を見つめて
立ち止まっている爆豪くんがいた。
後ろ姿からでも伝わってくる強い感情
私はフラフラする体を
足でしっかり支えてから爆豪くんに話しかける。
『爆豪くん。みんなもう行っちゃったよ、行こ?』
「………」
(あれ、聞こえてない…?)
『爆豪くん?…爆豪くんてば!!!』
「あ゛…?あぁ、テメェか…」
振り返ったその顔は、
ただ負けて悔しいってだけの表情じゃなかった
悔しさなのか、怒りなのか、悲しさなのか、
とにかく否定的な感情で溢れている。
大丈夫?と声をかけようとしたけど、
彼はきっとそんな言葉は求めてない。
『…爆豪くんが何を抱えてるのかは分かんないけどさ、ヒーロー志望がそんな顔してちゃダメだよ』
「………うるせぇ」
『ほら、早く戻ろう?』
(あ…まずい…)
一方踏み出すとふらふらした足取りのせいで
崩れて散らばっている破片に躓いて
大勢を崩してしまった。
そのまま目の前の地面に向かって一直線。
咄嗟に個性使って防ぐ
なんて考えは微塵もなかった。
「っあくあ!!」
(あれ…?わたし、転んでない)
よく見ると爆豪くんが後ろから
お腹に手を回して
私の体を支えてくれていた。