第14章 10年越しの歌声
勝己くんと分かれた私は
ヴィランに遭遇しないよう
なるべく端の壁際を通りながら
元いた場所に戻ろうと走っていたその時
「もう大丈夫!!私が来た!!!」
という力強い声が、
どこからともなく響き渡った
これは間違いなく、
NO.1ヒーローオールマイトの声だ
(オールマイトが来てくれた、きっともう大丈夫…!)
この時の私はそう思っていた
でも、ワープゲートに
飛ばされずに済んだ者達が居る
元の場所にたどり着いた時、
そんな感情は全てかき消されることになる
『え………、?』
その時私が目にしたものが何なのか
理解するまでに1秒もかからなかった
見間違いであって欲しいと思った。
「あくあちゃん…?!よかった、無事だったんだね」
その場にいたお茶子ちゃんに、
恐る恐る尋ねる。
『ね、ねえ……あそこに担がれてるのって…。』
1人の生徒の背中に担がれている
血だらけの男、
私のよく知る人だった。
「相澤、先生…」