第2章 □朝
前のめりになり、悟の顔を手で包み込むようにする。上半身を動かした時に大きめのサイズのベッドが軋んで、その音が私の顔が赤くなるのを手伝う。
鼻と鼻がくっつくくらいの至近距離。恥ずかしい紛れにこう呟いた。
『悟、愛してる』
そのまま唇を重ねる。ちゅっ、とリップ音がして、顔を離した。
…はずだったんだけどなぁ。
その瞬間、ガバッと後頭部を掴まれ、離れるのを阻止された。
寧ろ、キスはもっと深いものになっていく。唇を舌でこじ開けられ、乱暴に侵入してくる。
『…っ…やっ、らぁっ…さ、とる…』
歯茎を撫でられ、舌をにゅるりと絡め取られれば、自分のものとは思えないような甲高い声が唇の隙間から漏れる。
恥ずかしい。
やっと唇が離れたかと思えば、私達の間に銀の糸が連なって、ぷつんと切れた。
「ふふ、夏奈、おはよ」
『おはよ、じゃないって!朝から何やってんの!?』
当の本人は目を細めて涼しい顔。…なんか、悔しい。
「先に仕掛けたのは夏奈じゃん」
『…っ』
そう言われれば言い逃れはできない。
「朝から気持ちいいことしたいなら言えばよかったのに」
言葉の意味を理解する前に、視界がぐるっと回転した。
『…え?は、ちょっとまっ』
「あー今日仕事休めないかな」