第2章 □朝
朝。カーテンの隙間から漏れる光によって目が覚める。
体を動かそうとすると首に違和感を感じて、右を見ると、私の恋人―五条悟がいた。
『…なんだ、帰ってきてたなら言えよ。ってかなんで腕枕してんの』
黒いスウェットを着て、気持ちよさそうに眠っている。わざわざ私の頭の下に腕を敷いて、すやすやと寝息を立てるその姿を愛しいと思ってしまった自分が恥ずかしくて、思わずそう口にした。
『……』
…なんだか少し、もどかしくなってきた。
前にリビングで薄着で寝ていたら悟に「え、それ誘ってる?ならすっごい生殺しだらかさっさと抱かせて?」って言われたことがあった。その気持ち、ちょっとわかるかも。
『…さとるー』
名前を呼び、頬に触れた。相変わらず肌綺麗だな。ムカつく。
―反応なし。
ならもう少し、と思った私は、慎重に起き上がり、悟の上に控えめに跨がった。正面から見た悟の寝顔にそそられてしまったのは、また別の世界線の話。