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袖触れ合うも他生の縁(銀魂:銀時夢)

第3章 塞翁が馬 〜銀時篇〜


 ったく、だりぃな。

 昼過ぎまで布団の中でゴロゴロしていた坂田銀時は、相変わらずダルそうな顔をしたジャスタウェイ時計に刻まれた時間を見て毒づく。長年使用しているその時計も、針とともに時を進めれば愛着が湧くものかと思ったが、実際にはそんな事もなく、ジャスタウェイの表情を見る都度にイラッとする毎朝だ。この日は特に苛立ちが酷い。十二時半を少し過ぎている事を知らせるそれを見て、いそいそと布団から出る。

 「あのバカ校長。何でよりによって日曜日に会議開くんだよ。」

 銀時はその日、勤務している銀魂高校のハタ校長、通称、バカ校長により開かれる突然の会議に参加するよう命令されていた。貴重な週末を取られるだけでも腹が立つというのに、何故よりによってこの日なのだろうか。

 「やっとアイツを探しに行けると思ったのによぉ。」

 脳裏に思い浮かべるのは先日再会した愛しい娘だった。あの日はちょうど糖分が切れかかっていたため、まだ勤務中だという事はそっちのけでスーパーへお菓子を調達しに行ったのだ。ビニール袋いっぱい分の糖を確保すれば学校への道を進むのみ。しかし、ふと今まで入った事の無い住宅街への入り口が目に入った。近道になるかもしれない、と要らぬ冒険心を胸に彼は見知らぬ道へその身を進めた。
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