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~セーラー服と銀八先生~ 銀魂3Z沿い小説

第7章 【第五講 前半】文化祭は何かとトラブルになるけどそれも又青春


「食い逃げ現場はここ?」
「□□!」

 長谷川は○○の腕に巻かれた風紀委員の文字に目を止める。
 クラスメイトとなって日は浅いが、○○が風紀委員内でも一目置かれる正義感あふれる生徒であることは知っている。
 きっと食い逃げ犯を捕らえてくれるに違いないと、長谷川は○○に被害を訴える。

「ここだよ、ここ! やられた!」
「犯人の風貌は?」

 今日は学校関係者だけではなく、不特定多数の人間が学校に出入りしている。
 大勢の中から探すのは容易ではないだろうが、むざむざ見逃すわけにはいかない。
 出来る限りの手は尽くさねば、と思ったが、長谷川の口から出たのは容易に探し出せる人物だった。

「うちのクラスのチャイナ娘だよ!」

 チャイナ娘こと、留学生の神楽。
 探し出す必要などなく、いつでも会える。

「なんだ、神楽ちゃんか」

 ○○の緊張感は一気に解きほぐされる。
 食欲魔人、神楽。文化祭でクラスメイトの屋台に金銭を支払う姿を想像する方が難しいくらいに食い逃げが似合っている。

「なんだ、じゃねェよ! 誰が食おうがこっちは食材の費用がかかってんだよ!」

 ○○としても、相手が誰であろうと食い逃げは許すべからざる行為だが、クラス内のイザコザともいえる事態に手を焼いている日ではない。
 この問題は後日でも解決できる事案だ。

「会ったら払うように言っとくよ。今日はツケってことで」
「信じていいのかそれ。つか、信じらんねーよ」

 ○○は手をこまねく。
 確かに、神楽が素直に支払いに応じるとも思えない。
 ○○はふとひらめき振り返る。そこには片時も○○から離れずにピタリと付いて来ていたロン毛がいた。

「じゃあ、今日は桂くんに立て替えといてもらおう」

 神楽が支払いに応じず、桂のおごりとなっても知ったこっちゃァない。
 ○○は背後を指し示すが、その先に視線を向けた長谷川は首を傾げる。

「桂なんていねーぞ」

 振り返ると、桂の姿が忽然と消えていた。

「アイツ、逃げやがった……!」

 逃げの小太郎、財布のピンチを察して颯爽と逃走。
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