第5章 【第四講 前半】野球の話は後半から。
「私も校則の改正には反対です」
廊下側からの声に、風紀委員達は目を向ける。
声の主は、新しく風紀委員に加わった○○。
○○は廊下側一番前の席から、真正面、窓際一番前の席にいる土方を見据える。
「何でもかんでも規則で縛るのはよくないと思います」
土方は眉間に皺を寄せ、○○を睨む。
「新参者は黙ってろ」
その言われ様に、○○の眉間にも皺が寄る。
「新参者でも古参でも、銀魂高校の一員ということに変わりはありません」
「そうだぞ、トシ。そういう差別はよくない」
「差別じゃねェ。来たばかりの奴にはこの学校がいかに乱れてるか、わかってねーだろってことだ」
土方の言葉に、近藤は首を捻る。
「そうかァ? 俺にも、そんなに風紀が乱れてるようには見えんがな……」
「近藤さんは甘ェんだよ」
鬼の副委員長土方。
彼は些細な違反でも、校則を破る生徒には容赦ない。
「外見の乱れは精神の乱れだ。見た目から整えてこそ、有意義な高校生活が送れんだよ」
土方は頑として自分の意見を曲げない。
だが、○○も信念を持って発言している。屈するわけにはいかない。
○○は土方の発言を論破しに掛かる。
「外見の乱れを正すなら、学ランの内側は白シャツ無地限定という校則も必要ではないでしょうか」
土方の学ランからは赤いシャツが覗いている。