第4章 【第三講 後半】そして棒倒し……
何くそ! と攻めたてる土方に奮起される形で、白組の攻撃を担う男子達は勢いを増した。
沖田はすでに、近藤に請われて自陣の守備へと戻っている。
このまま白組の勝利で決する――○○を含め、見ている者の何人がそう確信したか知れない。
だが、形勢は一気に逆転した。
「な……!」
それは、赤組の生徒の反撃のせいではない。
銀魂高校の生徒ですらない。
「神楽ちゃんのお兄さん!」
神威率いる夜兎工業高校の三人組が、突然グラウンドに侵入した。
彼等は白組の守る棒へと突撃した。
「アイツら……」
彼等は赤組に助太刀すると宣言した。
神威は以前、銀魂高校史上最凶の不良、高杉晋助と諍いを起こした。
その時は銀八が止めに入り、うやむやのまま休戦状態になっている。
「こんな楽しい日にノコノコと……!」
ムキーッと、○○は立ち上がった。
その時、
「何!? ノコノコ!?」
不意に隣から聞こえた声に、○○は目を向けた。
そこには、赤い帽子を被り、青いオーバーオールを着、鼻の下には髭を生やした――
「お前は、マ――」
「マ●オじゃない、ノコノコだ」
マ●オの格好をした桂――通称カツオが、緑色のぬいぐるみを手にして立っていた。
「それ、ヨッ●ーだろうがァァァ!!」
桂が持っていたのは亀ではなく、恐竜の形をしたぬいぐるみ。
桂は再び○○の松葉杖で空へとかっ飛ばされた。
緑色をしたぬいぐるみだけが、ポトリと落下して、○○の足元に残る。
足元で緑色の恐竜は愛らしいウインクを向けている。
「…………」
○○はそのぬいぐるみを拾い上げ、実行委員のテントの下に並ぶ長机の上に置いた。
コイツ可愛いな持って帰ろーと思ったことは、誰にも秘密である。