第3章 【第三講 前半】小説版に時系列なんて最早ない
ワアワアと、銀魂高校に歓声が響く。
校庭で繰り広げられているのは、二年女子による徒競走。青々と広がる空の下には万国旗が翻り、どこにでもある一般的な体育祭が繰り広げられている。
三年生の出番が来るまでは、だ。
「お妙さん、ぶっち切っちゃってよ!」
「ええ、○○さんの分まで精一杯走るわ」
○○はクラスメイトの志村妙と話している。妙の出番は四番目のレース。まだ、スタート位置にもついていない。
ちなみに、スタートラインでスタンバっていた桂は、一年女子の徒競走の時間になってもスタンバっており、邪魔だったため、○○に松葉杖でかっ飛ばされた。
「次は神楽ちゃんの番ね」
第一走者が走り終え、次の組が走り出す。
その中の一人は、お団子頭の留学生。○○と仲の良い、神楽。
「ほぁちゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
と、目を逆三角形に吊り上げて走る神楽は、他のクラスの生徒達に大きく水をあけた。その走りは「ほぁちゃぁぁ」よりも「キィーーーーン!」という掛け声の方が合っている。キィーンキンキンキンキンキーンと、ペンギン村に住むロボット少女のように彼女は人外の走りを見せる。
「んちゃぁぁぁ!」
両腕を水平にした格好で、彼女はゴールのテープを切った。
「さすがは神楽ちゃん!」
圧倒的大差で、神楽は百メートルを駆け抜けた。