第3章 【第三講 前半】小説版に時系列なんて最早ない
「だって、競技に参加したらボケ必須でしょ? ハードル高そーなんだもん」
「そんなルールはありませんが!?」
いかに、ボケるか。
銀魂高校にいる生徒(教師もだ)の大半は、どうボケるかを天からの至上命令として考えている。
「何も自分の足を折ってまで……」
風邪気味だとか、あの日だとか、他に口実はあるはずだ。
だが、
「嘘とサボりはダメ!」
松葉杖の先っちょをビシッと新八の顔面に向け、○○は言い放った。
変なところだけで真面目な○○に、新八は溜め息を禁じ得ない。
まともに見えても、そこはやはり3Zの生徒。頭のネジがぶっ飛んでいる。
「ハードル競走に参加する予定だったんだけど、みんなレベルの高いボケを連発しそうな予感がするんだよね。女の勘ってヤツ。ハードルが高いよ。ハードル競走だけに」
すでにつまんねーよ!! と、新八は脳内でツッコむ。
こんな滑るネタはまるで、
「すでに徒競走スタンバってます」
○○と新八の横で、いつの間にやら、スベリスト桂がクラウチングスタートの姿勢で待っていた。
「オイィィィ!! 男子徒競走は午後の競技だ!!」
やっぱり滑ってるよ! との新八のツッコミにも耳を貸さず、桂はクラウチングスタートの姿勢でいつまでもスタンバっている。
「じゃあ、最初の競技はこれか?」
次に現れたのは、吉原商業高校から転任して来たばかりの月詠だった。
彼女は手にローションを持っていた。
「滑る競技といえば、これじゃろ」
「そんなヌルヌルの競技はねェェェ!!」
新八のツッコミは今日も朝からフル稼働。