第23章 同級生⦅五条ver⦆
「おはよう、なな」
寮から高専に向かう中、少し低めの落ち着いた声が なな の耳に響いた。
『おはようございます、夏油先輩』
登校、と言っても教科書は全て教室に置いてあるため、2人とも手ぶらで移動していた。
『五条先輩は??』
夏「あ~、アレは授業ギリギリに教室来るタイプだから まだ来ないと思うよ」
夏油は なな のスピードを合わせて、 ゆっくり歩いてくれる。
『夏油先輩と五条先輩って あんまり似てないですよね?』
夏「どういう事だい? 兄弟ではないから、似てないのが普通では無いかな??」
首を傾げる夏油に、なな は笑った。
『夏油先輩は、冷静沈着って言葉が似合うけど、五条先輩って破天荒、って感じだから、どぅして仲が良いのかなぁ、って思って』
夏「…なぜだろうね。
ケンカもするけど、なんだかんだで、背中を預けられるのはアイツだけだと思っているのかもしれないな」
☆ ☆ ☆
懐かしい夢を見た。
『あの頃が懐かしいなぁ…』
ポツリと呟いて、なな は高専へ向かった。
なな は高専卒業後、拠点を高専にしたまま呪術師として活動している。
普段は学生と接する事もないのだが、五条から「学生には いろんな術師に会わせたい」と言われ、今回 学生と会う事になっていた。
学生達はみんな素直で、活動についていろいろ質問された。
授業が終わり、五条と一緒に1年生教室を出ると「みんなイイコでしょ」と五条は自慢気に言った。