第1章 あなただけの⦅宿儺⦆
恥ずかしさで自分でも驚くほど 大きな声で否定してしまった。
隣を見れば、その人は肩を揺らして笑いを堪えている。
この人、分かってて聞いたな。
『試しましたね?』頬をプクッと膨らませ、その人に聞けばケヒッと笑われた。
「試した詫びだ、もう少し近くに来い」
言われた通り近づくと、急に抱き締められた。
「このような事をされるのも初めてか??」
『~~~?!///』
4本の腕で抱き締められ、身動きが取れない。
トクン、トクン、と心臓の音が心地好い。
「どうした?」
その人が不思議そうに声をかけた。
『温かいです』
「そうか」
しばらくそうしていると、その人は ゆっくり体を離してくれた。
「そういえば、お前、名は何と言うのだ?」
『ななと言います。貴方は??』
「宿儺だ」
この日は、恥ずかしさが残り いつもよりも早く村に帰った。
名前を教えてもらったり、初めて男性から抱き締められた。