第1章 あなただけの⦅宿儺⦆
なな side
母「なな、輿入れ先の話を聞きたくはないのですか?」
『輿入れまで楽しみにとっておきます』
そうはぐらかして、今日も湖を目指した。
湖に着くと、今日も あの人が居た。
横になっているので静かに近づいて、その人の顔を覗き込んだ。
⦅…寝ているの??⦆
「人の寝顔を盗み見るとは感心せんな」
パチ、と目を開け そう言われた。
『ごめんなさい!』
距離を取るように、その人から離れると その人は「冗談だ」と言いながら体を起こした。
チラリと覗く筋肉質な腕に目がいってしまう。
「…あまり人の体をジロジロ見るな…」
『たくましい体つきだと思ってしまって』
「お前、男の体を見たことは無いのか?」
『ありませんよ!』