第15章 言葉足らず⦅宿儺ver⦆
照れているのか、口元を隠すように宿儺は言った。
『私は何も準備してないのに……』
宿「良いのだ。なな が俺のそばに居るだけで、俺は幸せだ」
宿儺は なな の頬を撫でた。
『……宿儺さまぁ…』
またポロポロと涙を流す なな に、
宿「今日の なな の表情は忙しいなぁ」
とクスリと笑った。
『…嬉しいです…宿儺さま。
宿儺さまの気持ちも知らないで、私ってば……』
ようやくいつも通り笑う なな に、
宿「また 口づけで その涙も止めてやろうか」
とニヤリと笑った。
『それは もぅ良いです;;』
真っ赤になりながら、なな はうつむいた。
『そう言えば宿儺さま、最初に言っていた "小さい" って何だったんですか?』
宿「あぁ、それは "やっぱり なな は小さいな" と。この着物、羽織ってみろ」
宿儺に促されるまま、着物を羽織ると……
『……これは、綺麗な柄をした男性物ですか?』
宿「…女物だ…。
さっき抱きしめた時に、やっぱり裾と腕が長すぎるから、仕立て直しが必要だと思ってな。
本当は仕立て終わった後に渡してやりたかったが、なな が 要らぬ心配をするくらいなら実際に合わせた方が早いだろう?」
よく似合うぞ、と優しく微笑む宿儺に⦅敵わないなぁ⦆と思った なな であった。
*宿儺ver おわり*