第190章 オレンジ⦅虎杖悠仁⦆
参列者から祝福され、笑顔の新郎新婦。
式の邪魔にならないように離れた場所から見ていた俺たち。
なな はその様子を憧れのような眼差しで見ていた。
俺は なな を幸せにしてやる事は出来ない。きっと苦しめるだけだと分かっている。
それでも。
最愛の人の そんな表情を見たら、叶えられない約束でも口走ってしまう。
「…なな」
『?』
視線を俺に変えた なな の瞳を見ながら伝えた。
「…俺は……。生涯 なな を愛する事を誓います」
『///』
真っ赤に頬を染め、驚いてから笑った笑顔。
『…私も、誓います//』
なな の おでこ に ちゅっとキスをすると、なな は幸せそうに笑ってくれた。
高専の情報網を舐めていたわけでは無いが、それからしばらくして俺たちの居場所は高専側に伝わり、俺たちは高専へ連れ戻された。
束の間の幸せな時間。
なな と過ごした短かったが充実した時間。
少しの間でも【呪い】や【呪術師】と言う普通じゃない生活から解き放たれた解放感。
なな 。
俺に付いてきてくれて ありがとう。
☆ ☆ ☆
「 月宮 、出ろ」
知らない男は なな が閉じ込められていた呪符だらけの部屋の扉を開けて そう言った。
『………何故ですか?』
「お前は釈放だ。虎杖は自分が 月宮 を無理矢理連れ去った、と証言した。お前は被害者と言うことで上層部は寛大な判断をされたのだ」
『?!』
男の発言に なな は驚いてから、男をキッと睨みつけた。