第188章 呪⦅虎杖ver⦆
「人を殺したからなんだ!
なな の気持ちはどうなるんだ! 少しは なな の事考えた事あるかよ?!」
「……ッ…!
でも…今の俺は なな に会う資格なんか…」
唇を噛み、視線を下に落とす虎杖。
「資格うんぬん考えるな。
お前は なな の事だけ考えてろ。
なな の幸せを お前が勝手に決めつけるな」
アイツはいつも泣いてる…、伏黒は小さくそう言った。
「……………」
「 なな に拒絶されたなら、その時は男らしく高専を出ていけ」
「…おう。………てか伏黒サンちょっと言葉キツくない??」
いつの間にか伏黒のペースに乗せられ、あの頃のように伏黒の後を追う虎杖はポリポリと頬を掻いた。
そんな虎杖と伏黒の様子を腸相は やれやれ と安堵したような ため息をつき、その後ろ姿を追いかけた。
☆ ☆ ☆
久しぶりの高専ー。
呪術師の厄介者でもあり、呪術界にとっては砦(とりで)であった五条が居ない今、呪術界上層部は今後の対応に追われていた。
ガラガラ…、と1年生教室の扉を開ける伏黒。
教室の中には机の上に上半身を預け、顔が伏せている なな が居た。
伏黒に肘で小突かれた虎杖は、自分でも驚くくらい小さな声で なな の名を呼んだ。
『?!』
その声に反応するように、バッと顔を上げた なな は伏黒と、その隣にいる虎杖を確認すると その瞳に涙を浮かべた。
『……ゅぅ…じ………悠仁……!』