第188章 呪⦅虎杖ver⦆
なな の両目は少し腫れ、その瞳は少し赤みがさしていた。
うわぁん、と子どものように泣いている なな の近くまで行き、虎杖は「 なな 、ごめん…」と呟いた。
「…俺、なな の笑顔を守りたいって言ったのに逃げ出した………。
……たくさんの人を殺した俺なんて、なな と会う資格なんて無いと思った……」
『…馬鹿』
「ごめん…」
なな の目を見れないまま、虎杖は視線を落とした。
『私は悠仁が近くに居てくれれば それだけでいいの…。…もぅ、どこにも行かないでね…』
消え入りそうな なな の言葉に虎杖はコクンと頷いた。
「…不安にさせてゴメン、なな 」
やっと自分の目を見た虎杖に、なな は優しく笑った。
『やっと私の事 見たね』
「…そぅ、かも//」
なな に言われ、少し気恥ずかしくなり、虎杖は なな から視線を外した。
すると、なな の両手が虎杖の両頬を包んだ。
『悠仁。ちゃんと私を見て。
私は どんな悠仁でも受け止めるから』
自分の目を見て、真っ直ぐ想いを伝える なな 。
虎杖は なな から視線を外さず「おう」とはにかんだ。
虎杖は宿儺がした事を許すつもりもない。
宿儺の悪行に終止符を打ち、自分の【死】は正しかったと思えるためなら自分の命くらい躊躇(ためら)う事なく差し出そう、高専に戻るまでは そう思っていた。
しかし、いざ なな の顔を見てしまえば【死】について自問自答してしまう。