第188章 呪⦅虎杖ver⦆
「俺、 なな の笑顔を1番近くで守りたい」
ニッと笑って虎杖は なな に言った。
『ありがとう。約束ね♪』
虎杖の笑顔につられて なな も笑った。
手を繋ぎ、互いに笑い合う微笑ましい風景。
そんな風景は、呪術師でなければ叶ったかもしれない。
もっと力(ちから)があったなら、もっと長く笑い合えたのかもしれない…。
……考え出したらキリがない。
☆ ☆ ☆
宿儺の指を大量に取り込んだ虎杖は、体の支配権を宿儺から奪い返す事に手こずっていた。
その間に宿儺は好き勝手暴れ、辺り一面を【無】にし、満足そうに笑って虎杖の中に戻った。
宿儺の暴走により、何も無くなった東京を見、虎杖は その場に立ち尽くした。
七海から受けた新しい呪いや、東堂から呪術師である意味を諭された虎杖は真人との因縁の闘いを終え、真人を取り込んだ謎の長髪男が去った後も高専に戻る事は無かった。
大量に人を殺した自分が高専に戻り、なな とまた笑い合う資格は無いと思っていたから。
そして乙骨に胸を刺された時、なな の顔が過(よぎ)ったが【…これで良かったんだ】と思った虎杖が居た。
「帰るぞ」
何故か死んで居なかった自分に驚きながら、虎杖は声がした方に視線を向けると伏黒が居た。
「…伏黒」
「高専に戻るぞ」
あの時と変わらず伏黒は虎杖に言った。
しかし、自分には高専に戻る資格が無いと言い張る虎杖に伏黒は舌打ちをして、言葉を続けた。