第186章 呪⦅宿儺ver⦆
ケヒと笑う宿儺さまの顔に、私の胸はドキンと脈打った。
それから、宿儺さまは私を食べようとする事も無く、普通の生活を与えてくれた。
私の事を心配してくれ、優しい視線を向けてくれる宿儺さまが大好きになった。
止まらない咳の事や、今までの事を宿儺さまの隣で話した。
宿儺さまは「そうか」と相づちを打ちながら私の話を黙って聞いてくれた。
「もうそんな奴らの事など考える必要などない。
なな は俺の事だけ考えていれば良いのだ」
『はい、宿儺さま』
ふふ、と笑って返事をすると、宿儺さまも口角を上げた。
☆ ☆ ☆
宿儺さまの所に来てから数ヶ月が経った頃。
私は体調を崩した。
季節の変わり目で体調が整わなかったのだ。
咳は止まず食事も ままならないようになり、私は衰弱していった。
宿儺さまは私に肉を食べさせようと、いろいろな肉を持ってきてくれた。
「食べられるか?」
宿儺さまの腕に支えられ、体を起こすが また咳が出る。
こんなに宿儺さまが尽くしてくれているのに……。
私は何も返す事ができない……。
悔しくて自然と涙が頬を伝っていた。
「どうした? 泣く程ツライか?」
フルフルと頭を左右に振り、宿儺さまの胸に顔を埋める。
『宿儺、さまぁ………。…大好き……ヒック……ッ……死にたくないよぉ…ック…』
自分の体だ。
死期が近づいているのが分かり、私は駄々っ子のように泣いた。
『宿儺さまと離れたくないッ
もっと一緒にいたいよぉ』