第171章 愛でる⦅虎杖ver⦆
虎杖は なな のちょっとした変化にもよく気が付く。
「あ、なな 髪切った?」
虎杖が なな に声を掛けた。
なな は切った毛先を指でいじりながら『うん』と笑った。
『毛先傷んでたから、10cmくらい切ったかな。
悠仁、よく分かったね』
虎杖の洞察力に驚きながら なな が言うと、虎杖はニッと笑って なな の髪に触れた。
「普通、恋人の変化くらい気付くだろ?」
何か変な事言ってる?、と首を傾げる虎杖に なな は顔を赤くしながら『うぅん』と言った。
別の日ー。
虎杖は寛大だ。
高専の校門前で待ち合わせ時間を少し過ぎ、なな は息を切らしながら虎杖に声を掛けた。
『悠仁、遅くなってゴメン!』
虎杖は怒るでもなく「いーよ、いーよ」と笑い、なな を見た。
「今日のメイクと服装よく似合ってる♪
俺のためにオシャレして時間かかったんだろ?」
申し訳なさそうに頷く なな の頭にポンと優しく自分の大きな手を置き、虎杖は優しく微笑んだ。
「どんなに待たされたって待つさ。
俺は なな の事が大好きだからさ♪」
自分で言って照れたのか虎杖も頬を染めて笑った。
「さ、お手をどうぞ♪」
虎杖は なな の頭を撫でていた大きな手を差し出した。
虎杖の大きな手を握り、なな と虎杖は校外へ出掛けて行った。
*おわり*