第170章 愛(め)でる⦅宿儺ver⦆
『恥ずかしいセリフ』
ふふ、と笑えば、宿儺は「足りんか?」と意地悪く笑った。なな は微笑んで首を横に振ると『十分すぎるくらい伝わってるよ』と言って宿儺に抱きついた。
『いつも ゆっくり話ができなくてゴメンね』
抱きついたまま そう謝れば、宿儺は なな の髪を撫でた。
「良い良い。体力が回復しないまま呪霊と戦って怪我をされても困る。
先ほども言ったように、俺は お前が寝ていようと そばに居るだけで満たされるのだ」
『ありがとう。
もう少し経てば呪霊たちも落ち着いてくると思うから。そうしたら ゆっくり話をしようね』
うとうと と目を閉じながら なな はそう言い、宿儺の腕の中で眠りについた。
呪いの王に見初められ、毎日生得領域に呼び出されていた頃は寝不足が続いていた ななだったが、今では宿儺の腕の中で安心して眠るようになった。
まだ幼さを残す寝顔を眺めながら、宿儺はいとおしそうに なな の前髪を撫でた。
*おわり*