第163章 束縛カレシ⦅虎杖 ver⦆
『分かりました。また後で伺います』
電話を切る なな に、虎杖は「誰から?」と聞いた。
『伊地知さん。今日の車は伊地知さんが運転してくれるみたいなんだけど、前の人の任務が長引いているみたいで高専まで来れそうにないから待ち合わせ場所に来てくれないか、って』
「そっか。今日の任務は1人なの?」
『確か1人だったと思う』
なな の答えに虎杖は「じゃあ俺も行こうかな♪」と言い出した。
『え? 何で?』
首を傾げる なな に、虎杖は ニッと笑って答えた。
「今日、俺任務無いし、1人より2人の方が早く終わるだろ?」
『そうだけど、報酬出ないかもよ?』
任務の人数配置は上層部が決めている。
呪霊の階級によって報酬も異なるのだが、これから なな が祓う呪霊は3級と言われている。
なな 1人で十分だし、虎杖と折半してもほとんど報酬が出ないのと変わらないくらいになってしまう。
「俺の分の報酬は要らないから なな 1人分でいいよ♪」
『そういう訳にはいかないよ』
そう言う なな に、虎杖は「いいの♪」と笑った。
☆ ☆ ☆
その後、虎杖と なな で伊地知との待ち合わせ場所に行くと伊地知に「何で虎杖くんまで?」と聞かれると、虎杖は「まぁまぁ」と言いながら2人で車に乗り込んだ。
伊地知から任務の詳細とタブレットの詳細を読み込む なな に対し、虎杖は「内容あとで教えて♪」と言った。