第159章 矛盾と葛藤⦅五条⦆

「連絡…、なな ばかりにさせてゴメンな。
誕生日、一緒に祝えなくてゴメン…。
…泣かせてゴメン…。
俺の気持ちは ずっと変わらない。
なな の事が大切で大好きで愛してる」

悟の落ち着いた声が耳に心地よい。

【ゴメン】
そんな言葉ばかり言わせてしまう自分が情けない。

悟に謝って欲しいワケじゃないのに。
そう思うと なおさら涙が溢れだした。

両目から零れる涙は手の甲で拭いきれないほど溢れていた。

悟はただ優しく頭を撫でてくれた。

好き。
私も大好き。
でも悪い事ばかり考えてしまうの。
この思いは きっと 繰り返してしまうから その都度 悟を苦しめる。

【悟の気持ちが分からない】
なんて嘘。
会えばいつも私の事を甘やかしてくれる悟。
私の事を大切に思ってくれているのは ちゃんと伝わってる。
嘘がキライで自分の言った言葉に責任を持つ悟の事だから、ずっと一緒に居たい、って言ってくれているのも本心だと分かる。

理性では ちゃんと悟の事も、自分の置かれている立場も分かってる。
4年も付き合ってるのだから不安になる必要なんて無いって信じたい。
でもダメなの。
弱い自分が出てくるの。
【ホントに？】
【自然消滅狙ってるんじゃないの？】
黒い感情と理性がぶつかり合う。
どうしていいか もう分からないよ。

ズキズキ痛む心臓の感覚。
それとともに溢れる涙。

困らせてゴメンね、弱いココロでゴメンね、悟。