第159章 矛盾と葛藤⦅五条⦆
☆ ☆ ☆
少しずつ落ち着き始めた なな の背中をさすり、五条は「落ち着いた?」と優しく聞いた。
涙は止まっても まだ嗚咽が止まらない なな は小さく頷いた。
「なな 、よく聞いて。
ツライ思いをさせてゴメンね」
なな を見る五条だが、なな は一瞬だけ五条の視線を合わせてから すぐに視線を外し、下を向いた。
「………俺は別れなくない
なな が今みたいに不安になったら そのたび好きって伝えるし、できるだけ連絡もする。
誕生日だって忘れないようにする」
なな の両肩に手を置き、そう言う五条。
『…………⦅ 馬鹿だな、私…… ⦆』
五条の真っ直ぐな言葉たちに なな はまた涙が溢れてきた。
「ずっと一緒に居よ? なな 」
なな の瞳から ぽたぽた と大きな涙が落ちる。
『……私…きっと また同じ事言うよ?』
「うん」
『……そのたび ちゃんと引き留めてくれる?』
「うん」
なな の言葉に五条は優しく返事をする。
『…私なんかでいいの?』
「なな がいいの!」
ズキズキ悲鳴をあげていた心臓の痛みは いつしか和らぎ、とくん とくん と鼓動を打ち出した。
***おわり***