第159章 矛盾と葛藤⦅五条⦆
呪霊の異常発生。
天災の多発。
悪循環の繰り返し。
はじめの頃は
『今だけ』
『もう少ししたら落ち着いて また前のように過ごせる』
そう思っていた。
だが先が見えないまま3年が経った。
お互い任務で忙しく自然と連絡頻度も減っていった。
もちろん2人でイベントを祝う事もできないまま…。
それが なな には辛かった。
「… なな ?」
いつの間にか五条が なな の顔を覗き込んでいた。
「大丈夫?」
『……………大丈夫…⦅ 泣いちゃダメ… ⦆』
なな は力なく笑ったが五条は少しだけ声を低くして聞いた。
「……………じゃあ何で泣きそうな顔してんの?」
ズキン、と心臓が痛む感覚。
五条はウソがキライだ。
もちろん、なな もウソはキライだ。
でも今 五条にウソをついた。
ウソだとバレているのに。
「ねぇ、言いたい事があるなら ちゃんと言ってくれないと伝わらないよ?」
ウソをつかれ、少し怒りながら五条は言った。
そんな五条を見て なな は口を開いた。
『…悟、別れよう』
「は? 何だよ急に」
目に涙を溜め、笑うようにして別れを告げる なな 。
なな の唐突な言葉の意味を理解できず、五条は戸惑った。
「ちゃんと理由 言わないと分かんないんだけど」
なな の言葉を待つ五条に、なな は涙を流さないように呼吸を整えながら ゆっくり話し始めた。
『………いつも…連絡するのは私ばっかり……』
「…………」
『…悟、私 誕生日過ぎたんだよ…?
覚えてる?』
言葉にしながら、なな の瞳からは涙が溢れだした。
『……ツライ、よぉ…
悟が…私のこと、どう思ってるのか 分かんない』
嗚咽まじりに そう告げる なな 。