第159章 矛盾と葛藤⦅五条⦆
「なな 」
自販機で飲み物を選んでいた なな を見つけた五条は、にこにこ して なな に手を振った。
「やっと会えた♪」
宿儺の指の封印が緩み、1級呪霊が増え 万年人手不足の術師は みんなてんてこ舞いに任務を任されていた。
特級の五条も もちろんフル稼働させられていた。
ご機嫌な五条とは反対に、なな の心は もやもや としたままだった。
選んだ お茶を取り出し口から取り出して なな は できるだけ いつも通り振る舞った。
『元気だった?』
「元気っちゃ元気だけど、もうクタクタだよ」
自分用の甘い缶コーヒーを選び、2人で近くにあったベンチに腰を掛けた。
「伊地知のやつ、おじぃちゃん達の圧に負けて俺にばっかり任務任せるんだよ?
どう思う?」
ブーブーと文句を言う五条に、なな は苦笑した。
⦅ …悟、覚えてる…?
私達もう3ヶ月も連絡取って無かったんだよ…? ⦆
もやもや に似た どろどろ とした感情。
向かい合っているわけでは無いため、なな を見るでもなく五条は今までの任務について話をしていた。
そのたび、なな は相づちを打った。
⦅ …私の誕生日も過ぎたんだよ…?
……誕生日くらい連絡が欲しかったよ… ⦆
五条の話を聞きながら、なな の負の感情は止まらない。
⦅ ……悟は私のこと、なんだと思ってるの…? ⦆
付き合いたての頃、どんなに忙しくても ちゃんと なな の誕生日や季節のイベントは短い時間でも必ず2人で過ごしていた。
それなのに……。