第156章 浮わついた気持ち⦅五条⦆
ドアスコープからこちらは見えていたはずだし、入って良いって事だよね?
「…入ってもいい?」
コクン、と頷いたて なな は部屋に招いてくれた。
なな は ぽちゃぽちゃ と角砂糖を入れたコーヒーを出してくれた。
しん と静まる部屋。
気持ちを落ち着かせるために1口コーヒーを飲む。
僕好みの甘さのコーヒーが口に広がる。
「………ごめんね」
素直に出たコトバ。
なな は黙って聞いている。
「なな の事、傷つけてばっかりでホントごめん…」
『…………』
「…なな と別れたくない…」
自分で言ってて、【別れる】と言うコトバに胸がズキンと傷んだ。
「…最後のチャンスを下さい。
もう傷つけない。約束する」
『…………』
なな は黙っていたまま、口を開いた。
『…ごめんね』
心臓が握り潰されるような感覚。
離したくないのに。
どうしたらいい?
『…嫌いって言って、悟からの連絡 無視して ごめんなさい…
…最近の悟の様子は、伏黒くんや伊地知さんから聞いたよ』
鈍る思考のまま、なな の話を黙って聞く。
『……………本当に…、もう浮気しない??』
何も言えないまま、頷く。
『悟からの連絡を無視するの しんどかった…
逢わない日も、伏黒くん達から聞く悟を想像するだけで苦しかった…
…私、まだ悟が好きなんだと思う………』
「え? ………ほんと?」
恥ずかしそうに顔を染めながら頷く なな 。
「…許して、くれるの?」