第151章 付き人の苦労⦅虎杖ver⦆
五条と言い争っても埒があかないと察した なな は渋々監視役を承諾した。
そして、初めて虎杖と会い虎杖の素直さに驚いた。
「月宮 さん、迷惑かけますが よろしくお願いします!」
監視されると言うことは自由ではない、と言うことなのに虎杖は深々と なな に頭を下げたのだ。
『なな で良いよ。みんなそう呼んでるし』
虎杖の監視は穏やか過ぎるくらいだった。
虎杖は文句を言うでも無く、なな を困らせる事も無かった。
しかし、上層部の嫌がらせで1年生に少年院の任務が入った。
なな も同行すると伊地知に伝えたのだが、伊地知は「なな さんには別の任務が入っています」と言われた。
『私が虎杖くんの監視役なのは上も承知のはずです。なぜ1年生だけの任務なのですか?』
年上の伊地知にも食って掛かる なな に、伊地知は圧倒されたが「上の指示です」とメガネを押し上げた。
『ッチ』
眉間に皺を寄せ、盛大な舌打ちをする なな に苦笑しながら虎杖が声をかけた。
「なな さん、心配しなくても大丈夫だよ。
宿儺も大人しいし、俺ら3人も居るから なな さんは自分の任務行ってきてよ」
『虎杖くん…
⦅上からの指示だから尚更心配なんだけどなぁ…⦆』
気持ちを切り替えるために深呼吸し、なな は伊地知に言った。
『任務に向かいます。
ただし、私の任務が終わっても虎杖くん達1年生の任務が長引いていた場合、私も帳の中に入ります』
「…分かりました」