第148章 雨⦅伏黒⦆
気が付いた時には なな たちのすぐ近くに特級と思われる呪霊がニタニタと笑っていた。
「……ぅああぁッ!」
虎杖が呪霊に向かって攻撃を仕掛けたが、呪霊は傷付く事もなく ゴロッ と虎杖の右手が床に転がった。
虎杖により なな と伏黒は釘崎を探すために その場を離れ、ボロボロになった釘崎を回収し虎杖に合図を送った。
伊地知さんに釘崎を病院まで送ってもらい、なな と伏黒は虎杖の戻りを待った。
「ここは危険だから なな も伊地知さんと外に出た方が安全だぞ」
『私も呪術師だよ。
守られてばかりじゃ意味ないでしょ?
恵と一緒に悠仁を待つよ』
そんな話をしながら虎杖を待つと、先程の呪霊の気配は消えたが、途端に それとは違う気配が2人の後ろにあった。
『悠仁…?』
宿儺の状態の虎杖を初めて見た なな は虎杖の名を呼ぶが、虎杖で無い事は分かっていた。
「ほぅ、女も居るのか。
よく血が映えそうだ」
虎杖では無い低い声が ケヒ と笑い、虎杖の心臓を体外へ投げ捨てた。
「女は後回しだ。
まずは お前だ」
「ッチ。なな 逃げろ!」
伏黒は宿儺に攻撃をしながら なな に言ったが、宿儺は伏黒の攻撃をヒラヒラとかわした。
なな と自分たちの距離を離すために、伏黒は なな から離れたが、宿儺の攻撃によって いつの間にか なな の居た建物まで戻された。
『恵っ!』
小雨程度だった雨は、いつの間にか本格的に雨粒を地面に叩きつけていた。