第144章 マウント⦅虎杖ver⦆
「なぁなぁ、虎杖は誰か好きな奴いねぇの?」
「んー…、教えない」
体育後、教室で制服に着替えながら男子生徒の1人が虎杖に聞いた。
「あー! その反応は誰か好きな奴居るだろ! 教えろよ、協力するからさ♪」
誰だれ?と聞いてくる生徒に、虎杖は「いや、別に協力してもらわなくていいし」と答えた。
「そんな事言うなよぉ、誰だよ?
あ、月宮 か?」
「月宮 可愛いよなぁ」
「月宮 も虎杖に気ィありそうじゃね?」
「月宮 に好きな奴居るのか探ってみようか?」
盛り上がる男子生徒達だったが
ダンッ!
虎杖は自分の机を乱暴に叩くと男子生徒達をひと睨みした。
「俺そういうの好きじゃない。
協力もいらねぇって言ってんだろ、止めろよ」
いつもニコニコ人懐っこい笑顔からは想像出来ない表情で自分たちを睨む虎杖を見て、本気でキレている事にやっと気づいた男子生徒達は「悪ィ…」と口をつむんだ。
「俺、月宮 の事好きだけど、誰かの協力で付き合いたいとか思わないから。
月宮 には先入観とか無しで ちゃんと正面から向き合いたいと思ってるから余計な事しないでな」
しっかり なな が好きだと言い、周りの男子生徒が なな に近寄らないように遠回しに宣言した虎杖。
廊下からはガヤガヤと女子生徒達の声が近付いてきた。
ガラッ、と扉が開くと女子生徒達が ぞろぞろ と入ってきた。
『? 虎杖くん、手どぅかしたの?』