第10章 守ってあげる⦅虎杖悠仁⦆
言葉に詰まる伏黒に、なな は『何? 虎杖くんが どうしたの?!』と先を急かした。
伏「俺と虎杖は特級に会った……。俺は何もできずに動けなかったんだ…。でも、アイツは特級の囮になるって言って残ってるんだ…」
『……そんな…………』
なな は伏黒の話を聞き、建物へ視線を戻した。
伏「…気配が消えた…??」
2人が安堵したのも つかの間。
伏黒の後ろに宿儺のままの虎杖が立っていた。
『…虎杖くん…??』
伏「月宮 離れろ!」
ドン、と伏黒に押され、自然と宿儺から離れた なな だったが、宿儺はなな を見て「ほぉ…」と呟いた。
宿「代わるのに少々手こずっておるようだ」
宿儺は機嫌がよさそうにそう話し、虎杖の心臓を抜き取った。
伏黒は宿儺に攻撃を仕掛けるが、宿儺は まるで子どもの相手をするかのように、ヒラリ ヒラリと攻撃をかわし、伏黒を投げ飛ばした。
『伏黒くん!!』
ボロボロになっていく伏黒を なな はただ見ているしか出来ない。
⦅…情けない……。…私は、無力だ………⦆
軽々投げ飛ばされ、建物を突き抜けていく伏黒。
『…伏黒くんが死んじゃう……』
宿儺は いたぶるように伏黒に攻撃を続ける。
『……虎杖くん…。戻ってきてよ…』
ポツリ、と弱々しい なな の声は宿儺や伏黒には届かない。
『悠仁のバカー! 戻ってよ! 助けてくれるんでしょ!?』