第1章 あなただけの⦅宿儺⦆
宿儺 side
不思議な娘に会った。
俺を見ても怯えない者は初めてだ。
あの娘の声は心地好いものだった。
翌日、あの娘と会った場所へ向かった。
あの娘が本当に俺と話をしたがっているのかは分からないため、木の上から様子を伺った。
娘は本当にやってきた。
辺りをキョロキョロ見渡し、小さくため息をつくと その場に腰を下ろした。
娘の近くには自然と野生の動物たちが集まってきた。
独り言のように動物たちに話しかける その声は やはり心地好いものだった。
娘の声を聴きながら、俺はいつの間にか眠っていた。
こんなに穏やかに眠ったのは何年ぶりだろうか。