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一緒に夢みませんか?[呪術廻戦]

第1章 あなただけの⦅宿儺⦆


なな side

湖で逢った人の事が忘れられない。
腕が4本で顔も2つあるから忘れられないのだろうか、とも考えたが、あの人の事を思うと胸がドキドキする。

父「なな、お前に輿入れの話があった」

『え…?』

父からの突然の報告に言葉を失う。

父「輿入れは1週間後だ」

『……分かりました』

母「寂しくなりますね」

呆然としながら、いつものように湖へ向かった。

「…遅かったな…」

湖へ着くと遠慮がちに声をかけてきた名前の知らないあの人。

「どうした?」

『父から 1週間後に輿入れだと告げられて…。驚いたと言うか何と言うか……』

その人の隣に腰を下ろし、アハハと乾いた笑顔を張り付ける。

「輿入れはイヤか??」

『イヤ、と言うより会った事の無い人の所へ行くのですよ?
年齢も容姿も分からない…。不安です』

ポツリと本音を呟く。

「輿入れ先を潰してやろうか?
そうすれば、お前は輿入れに行くことも無くなるだろう?」

その人はニヤリと笑って そう言った。
この人なら本当に村や町の1つ簡単に消してしまいそうだ。

『冗談を。
でも、私欲で人の命を扱ってはいけませんよ』

私は その人が人を殺す所を想像したくなかった。
こうして穏やかに話をしている時間が好きだ。

「そう思っておるなら、なぜお前は輿入れを告げた時に残念そうな顔をしたのだ??
意中の者でも居るのか?」

『意中の人…?』

そう呟き、その人を見ると なぜだか急に恥ずかしいような苦しいような感情で顔に熱が集まっていくのを感じた。

「どうした?」

『何でも無いです!』

顔を下に向け、表情がバレないようにした。
私は名前も知らないこの人が好きなのだと気がついてしまったのだ。

『あと1週間、貴方と こうして話をしたいです』

その人の方を向いて、そうお願いする。

「…お前は輿入れを受け入れるのか?」

『……えぇ。だから、自由に出来る 残り1週間、貴方と逢いたいと思ってしまいます』

「まるで告白だな」

ケヒッ、と その人は初めて私の前で笑った。
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