第124章 視線の先⦅虎杖ver⦆
"呪いは普通視えないんだ。
死に際とか、そういう特殊な場面は別だがな"
過去に伏黒から聞いた説明だ。
呪いなんて視える必要は無い。
なな には普通に過ごして、普通の幸せを手にして欲しい。
そう願っていたのに、なな の「普通」を奪ったのは俺だ…。
杉沢第三高校。
在学期間は2ヶ月くらいしかなかったけど、同じ部活で笑い合った仲間が居る。
佐々木先輩、井口先輩、そして なな 。
宿儺の指の封印を解いて、呪いを目撃した3人。
先輩達は その後呪いが視える事は無かった。
でも、なな はそれをきっかけに呪いが視えるようになってしまった。
呪いから身を守るために高専に転入してきた なな だったが、呪いに対する恐怖と、死ぬかもしれない恐怖感に いつも震えていた。
そんなある日、五条先生は なな に【窓】になる事を勧めた。
【窓】であれば呪術師ほど危険はない。
ただ、必要最低限の防衛は出来ないと困るため、体術の訓練も受けていた。
【窓】の活動エリアは各地になるため、なな は地元の仙台に戻る事になった。
出発の日、釘崎は人目も気にせず なな を抱きしめて別れを惜しんでいた。
釘崎に便乗して なな に抱きつこうとしていた五条先生を伏黒が止めた。
「寂しくなったら いつでも戻っておいで」
五条先生が言った。
「窓も大切な役割だ。俺たちは なな の事 仲間だと思ってる」
伏黒もそう言った。
「…何かあったら すぐ連絡しろよ?」
新幹線に乗り込む なな に声をかけた。