第123章 視線の先⦅宿儺ver⦆
千年ー…。
ずっと1人で生きてきた。
寂しさや虚しさなんて感じた事など無かった。
俺にとっては 1人 が当たり前だったのだから。
しかし、知ってしまったのだ。
人を想うということを。
なな は何処にでもいる小娘程度に思っていた。
小僧を通して呪術師たちの事を見ていたらコロコロ替わる なな に興味が湧いた。
些細な事で笑い、仲間が傷つくと怒り、時に涙する。
静かに泣くのかと思えば わんわん声を上げて泣く時もある。
感情を表に出さないのが基本である呪術師において、これだけ感情を表に出す なな は本当に面白い。
そして気づいてしまったのだ。
なな の笑顔を見ると脈が速まり、涙を流している姿を見ると心ノ臓がチクンと痛む事に。
いつか、なな が見ている景色を一緒に見てみたいと思ってしまった。
呪いと呪術師。
交わる事のない運命を来世は同じ立場で出逢いたいと思ってしまった事に、千年という年月は自分を弱くしたと自嘲的に宿儺は笑った。
*おわり*