第93章 好き避け⦅虎杖悠仁⦆
今にも殴りかかって来そうな釘崎の勢いに虎杖は驚いたが「何もないよ」と答えた。
釘「じゃあ何で なな の事 避けんのよ! なな の気持ちも考えろバカ!」
虎「いやぁ…」
言葉を濁す虎杖に、釘崎は「何によ!」と睨みつける。
虎「………んだよ…」
ゴニョゴニョと小さな声で何か言う虎杖に、釘崎は「ハッキリ言え!」と虎杖の胸元の服を掴んで天井へ突き上げた。
すると、虎杖はなぜか赤い顔をしていた。
釘「は??」
虎「だからぁ! なな の顔見て話すの恥ずかしいんだよ!」
予想外だった虎杖の返答に、釘崎は掴んだ服をパッと離していた。
虎「なな の笑ってる顔とか見てると話の内容も頭に入んないんだよ」
釘「……なな の事キライじゃないのね?」
ポカンとしながら、それだけ確認する釘崎。
虎「キライな訳ないじゃん!
俺、バカだからさ、なな と話して "バカだなコイツ" とか思われたくないじゃん!」
釘「なな はそんな風に思わないでしょ。もともとアンタがバカな事はみんな知ってるし」
虎「ぇ、俺の事なんだと思ってんの?」
釘崎の発言にショックを受けながらも、虎杖は「男だったら好きな子の前では格好つけたいだろ」と言った。
それを聞いた釘崎は急に笑い出し、虎杖の背中をバンバン叩いたかと思えば虎杖をピッと指差して言った。
釘「男なら当たって砕けろ!
なな を傷付けるような事するな!」
虎「ぇ"、俺砕けるの?!
それ確定なの?!」